マンションを「借りる」ではなく「購入する」という選択をするとき、たいていは夫婦や家族で住むことを想定していると思いますが、そこで考えておきたいのが「単独名義か共有名義か」ということです。
「夫婦で住むんだから共有名義で良いんじゃないの?」
「共有名義って“負担を分けられる”っていうことで良いの?」
「良さそうだけど、実はデメリットもあったりする?」
そんなさまざまな疑問・不安をお持ちの方のために、今回は特に「共有名義」のメリット・デメリットを中心に解説してみました。
マンションの共有名義・共同名義とは
そもそも「名義」とは、「所有権を持つのは誰か」をあらわすものです。
【単独名義】特定の1人が所有権を100%持つ
【共有名義】2人以上が所有権を持つ(※)
といった違いがあります。
(※所有権の割合は購入時のそれぞれの負担額などで決まります)
たとえばマンションの場合、
・夫婦2人でそれぞれ住宅ローンを利用して購入する
・親子の一方が頭金を出し、もう一方が住宅ローンを利用する
・単独名義のマンションを複数の相続人が相続する
このようなときに共有名義が選ばれます。
最後の例は、父親の名義だったマンションを、父の死後に母親・子どもで相続するケースなどが該当します。
ちなみに、共有名義は「共同名義」とも呼ばれます。
共有名義で購入するメリット
共有名義でマンションを購入すると、
・住宅ローンを分けて負担できる
・頭金と住宅ローンの負担者を分けられる
というわけで、ひとりひとりの負担分が少なく済むというメリットがあります。
また、たとえば夫婦2人で住宅ローンを組む場合、住宅ローン控除を2人ともに受けられるというメリットもあります。
その他、次のように贈与税対策や相続税対策ができるのも大きなメリットです。
贈与税対策
たとえばマンションを購入するにあたって親から頭金を出してもらう場合、子の単独名義だと親から出してもらった頭金の額に応じて贈与税を納める必要があります。
(ただし、両親や祖父母といった「直系尊属」から住宅購入資金の贈与を受けた場合、諸条件がありますが、金額によっては軽減措置が適用されて非課税となります)
しかし、親子の共有名義でマンションを購入する場合、親が出す頭金は「贈与」ではなく「購入に必要な負担の一部」となるため、金額にかかわらず贈与税はかかりません。
相続税対策
夫婦のどちらかが単独名義でマンションを所有していた場合、名義人が亡くなるともうひとりがマンションを相続できますが、その際にはマンションの評価額100%に応じた相続税を納める必要があります。
しかし、夫婦の共有名義にしておけば、名義人の「持ち分」のみに相続税がかかります。
その分、単独名義の場合に比べて負担を軽減できるわけです。
共有名義で購入するデメリット
共有名義には、次のようなデメリットもあります。
諸費用が割高
たとえば夫婦2人で住宅ローンをそれぞれ組む場合、負担を分けられるのはメリットですが、ローンを組む際の諸費用が割高になる点には注意する必要があります。
住宅ローンを組むにあたって必要な事務手数料、印紙税などが2人分になるため、単独で住宅ローンを組む場合に比べて合計の金額が増えてしまうわけです。
売却の際スムーズに進まない場合がある
マンションを売却する場合、名義人の全員が意思を共有していればスムーズに進めることができます。
しかし、たとえば夫婦の共有名義の場合において、「夫は売りたいが妻は売りたくない」というケースだと、スムーズに進めることはできません。
というのも、売却などの重要な事柄に関しては、「名義人全員の同意」が必須だからです。