現在、すべての建築物には「24時間換気システム」の導入が義務づけられています。
新築マンションにも必ず備え付けられているのですが、
「なぜ義務?設置する意味とは?」
「そもそも換気システムって何?」
といった疑問をお持ちの方もいるでしょう。
そこで今回は、
・24時間換気システムとは?義務化された理由は?
・システムがあるメリットやデメリットは?
以上のような内容でお送りします。
24時間換気システムとは?
24時間換気システムは、自動的に部屋の空気を循環させるための設備です。
マンションの場合、
・各住戸のバルコニー側の壁や天井に「給気口」がある
・給気口で取り込んだ外の空気が各部屋に流れ込む
・浴室やトイレなどに設置された「排気口」から空気が排出される
このような仕組みになっています。
そんな24時間換気システムは、2003年に施行された改正建築基準法によって設置を義務づけられ、現在に至っています。
導入された目的
マンションを含む住宅は、技術の発展によって「気密性」がどんどん高まっています。
・すきま風が入ってこない
・外気温の影響を受けにくい
・エアコンの効きが良い
そのようなメリットがあるのですが、一方で、気密性が高い住宅はどうしても空気がこもってしまうため、定期的に空気の入れ替えを行う必要があります。
これを自動的に行うために、「24時間換気システム」が導入されるようになりました。
義務化された理由
新築物件の場合、空気がこもっている環境だと、建材などから発生する「ホルムアルデヒド」という化学物質が充満して「シックハウス症候群」になることがあります。
(新築から4年程度は高いリスクがあるといわれています)
さまざまな体調不良の原因となるシックハウス症候群は、1970年代に欧米で問題視されるようになり、日本でも1990年代に本格的な議論が開始され、2000年に疫学調査がスタートしました。
その結果を受け、2003年に建築基準法が改正され、予防対策の一環として24時間換気システムの導入が義務づけられたのです。
システムの種類
24時間換気システムには、大きく分けて次の3種類があります。
第1種換気システム
第1種換気システムは、給気口と排気口の両方に「機械式の換気扇」を用いています。
これにより、安定した換気が可能となります。
第2種換気システム
第2種換気システムは、
【給気口】機械式の換気扇
【排気口】自然排気
という仕組みです。
室内の気圧が高くなることがありますが、外の汚れた空気を取り込みにくいという特徴があります。
マンションなどの一般住宅ではなく、クリーンルームや食品工場などに導入されることが多いタイプです。
第3種換気システム
第3種換気システムは、
【給気口】自然給気
【排気口】機械式の換気扇
という仕組みです。
マンションや戸建てなど、一般の住宅に導入されることが多いタイプです。
24時間換気システムのメリット・デメリット
ここでは24時間換気システムのメリット・デメリットをまとめてみました。
24時間換気システムのメリット
・ホルムアルデヒドによる空気汚染を抑制する
・換気の手間が省ける
シックハウス症候群になるリスクを抑え、常にきれいな空気を吸うことができるのが最大のメリットです。
24時間換気システムのデメリット
マンションは、自然給気の「第3種換気システム」が導入されていることが多いのですが、冬場は給気口の近くが寒くなりがちです。
ただし、
・フィルターやカバーを取り付ける
・熱を逃がさない遮熱断熱カーテンを付ける
といった対策を取ることは可能です。
まとめ
マンション探しをする際、間取りや収納スペースの有無を気にされる方は大勢いらっしゃいますが、「24時間換気システムの有無」を気にされている方は、あまり多くないのではないでしょうか。
しかし、高気密・高断熱化が進む現在の住宅では、24時間換気システムが必要不可欠です。
「シックハウス症候群の心配をせずに暮らす」「健康的な生活を送る」というのは、マンションで生活するうえで非常に重要なポイントとなります。
マンション探しをされる際には、24時間換気システムの有無にも注目していただければ幸いです。