今回のテーマは、マンションにおける建築工法のひとつである「ボイドスラブ工法」です。
スラブ(鉄筋コンクリート造の床・天井材)に関する工法のひとつであり、特に高級マンションで使われることが多いとされています。
では、そんなボイドスラブ工法とは、具体的にどのようなものなのでしょうか?
また、ボイドスラブ工法を取り入れるメリット・デメリットとは?
ボイドスラブ工法とは?
鉄筋コンクリートの床・天井のスラブに空洞(ボイド)を設ける工法を、「ボイドスラブ工法」といいます。
空洞を設ける分、通常のスラブよりも分厚くなるのが特徴です。
具体的には、
【通常のスラブ】150~200mm
【ボイドスラブ】250~300mm
このような数値の違いがあります。
また、空洞だと音が響きやすくなることを考慮し、発泡スチロール製の充填剤などを入れるのが一般的です。
ボイドスラブ工法のメリット
ボイドスラブ工法にするメリットは、主に以下の3点です。
梁が少ないので見栄えが良い
ボイドスラブ工法を用いる場合、分厚いスラブ自体が梁の役割を果たすため、「小梁(メインとなる大梁をつなぐ梁)」が不要となります。
これにより、天井の凹凸が少なく、見映えの良いすっきりとした空間に仕上げることができるのです。
遮音性が高い
通常スラブより厚い分、遮音性が高くなります。
通常スラブと比べて軽量
・空洞を設けず、ただ分厚くしただけの通常スラブ
・空洞を設け、発泡剤などを充填したボイドスラブ
これらを比べたときの話です。
理論的には、単純にスラブを分厚くすれば、見栄えよく遮音性も高い仕上がりになります。
しかし、それでは重すぎるため、空洞を設けるボイドスラブ工法が用いられるわけです。
ボイドスラブ工法のデメリット
・作業に手間がかかる
・通常スラブに比べてマンションの建築コストが高くなる
コストが高くなる理由は、ボイドスラブの「厚さ」にあります。
ボイドスラブ工法を使用した場合、床や天井が厚い分だけ上下の圧迫感が強くなるため、柱を伸ばして十分な階高を確保する必要があります。
つまり、通常スラブを使った場合よりも余分に建材を用いなければならなくなるため、建築にかかるコストが増えるわけです。
そのため、ボイドスラブ工法は特に高級マンションで多く用いられる傾向にあります。
まとめ
ボイドスラブ工法は、従来のスラブを使った工法よりも遮音性が高く、室内の空間をすっきり見せてくれるため、人気が高まっています。
「部屋に開放感がほしい」
「上の階の物音を気にしたくない」
という方は、ボイドスラブ工法を取り入れた物件を検討してみてはいかがでしょうか。