2025.10.29
耐火構造とは?防火構造や準耐火構造との違い、メリット・デメリットを解説!
マンションの購入を検討している時、火事を起こしてしまった場合や隣戸から火が出たらどうしようと不安に感じることがあるでしょう。
そこで注目したいのが、建物の「耐火構造」や「防火構造」です。
今回は、耐火構造の定義や、防火構造・準耐火構造との違いなどについて、詳しく解説します。
耐火構造とは?
耐火構造とは、火災が起きても建物が燃えにくく、崩れにくい建物の構造です。
壁や柱などの主要部分が一定時間、火に耐えられる性能を備えています。
万が一火災が発生しても、避難する時間を確保しやすいのが特徴です。
防火構造との違い
防火構造とは、周辺の建物から火が出た際に外壁や屋根から延焼しにくくする構造で、外からの火を防ぎます。
一方で、耐火構造は建物の内側からの火災にも強く、建物全体の倒壊や延焼を防ぐ性能を備えています。
そのため、隣戸から火が出た場合でも、耐火構造のマンションなら安心感があるといえるでしょう。
準耐火構造との違い
準耐火構造とは、通常の火災による延焼を一定時間抑制するための性能を持つ建物の構造です。
耐火構造と準耐火構造の大きな違いは、火災に耐えられる時間です。
・耐火構造……1~3時間
・準耐火構造……45分~1時間
耐火構造は火災が発生しても数時間は燃え崩れず、火が移るのを防げます。
一方、準耐火構造は一時的な延焼を防止できる性能にとどまります。
耐火構造のメリット
耐火構造のマンションには、さまざまなメリットがあります。
ここでは、代表的な3つのメリットについて解説します。
資産価値を維持しやすい
耐火構造の建物は丈夫で耐久性が高いため、資産価値を維持しやすい特徴があります。
以下が、構造ごとの法定耐用年数(減価償却期間)の表です。
| 構造 | 法定耐用年数(減価償却期間) |
|---|
| 鉄筋コンクリート造(耐火構造) | 47年 |
|---|
| 木造(非耐火構造) | 22年 |
|---|
| 軽量鉄骨(非耐火構造) | 19年または27年 |
|---|
これは、耐火構造の建物は高い価値を持つ期間が長いことを意味し、将来的に売却する際や担保とする際の評価において有利に働く可能性があります。
長期的な資産形成を考える方にとって、耐火構造のマンションは魅力的な選択肢といえるでしょう。
火災保険料が割安になる
耐火構造の建物は火災による被害が少なく済む可能性が高くなります。
そのため、火災保険料が割安になる傾向にあります。
耐火構造である鉄筋コンクリート造のマンションは、非耐火構造である木造の戸建て住宅と比較すると、大幅に安くなるケースが多いです。
火が広がりにくい
耐火構造の最大のメリットは、火が広がりにくいことです。
万が一、自分の戸室や隣戸で失火した場合でも、耐火構造であれば隣戸への延焼や隣戸からの延焼を防ぎます。
多くの世帯が壁や天井でつながるマンションだからこそ、火災のリスクを抑えられるのは大きな安心材料となります。
耐火構造のデメリット
メリットがある一方で、耐火構造にはいくつかのデメリットも存在します。
ここでは、主な3つのデメリットについて解説します。
建築費用が高くなる
耐火構造の建物は、国土交通大臣が認定した耐火性能のある資材を使用します。
そのため、建築費用が高くなり、結果的にマンション価格も高額になる傾向にあります。
ただし、予算が限られている場合は間取りや設備などのグレードを下げることで、費用を抑えられます。
温度変化が伝わりやすい
耐火構造の建物、特に断熱性能が低いマンションでは、夏は暑く冬は寒くなりやすいというデメリットがあります。
これは、コンクリートが持つ以下の2つの特性が原因です。
熱伝導率の高さ:外気の熱を室内に伝えやすい
蓄熱性の高さ:一度温まった(冷えた)熱を保ち続ける
そのため、耐火構造のマンションを選ぶ際は、断熱性能にも目を向けることが重要です。
デザインの制限
耐火構造の建物は、設計の自由度が低いというデメリットもあります。
例えば、壁面の強度を高めるために以下のような制限があります。
・開口部(窓)の大きさに制限がある
・柱や梁の位置も構造上の制約を受ける
なお、将来的にリフォームを行う際も、耐火性能を維持する必要から思い通りの間取り変更が難しい場合があります。
まとめ
耐火構造は、火災時の倒壊や延焼を防ぐ性能を備えた構造です。
防火構造より内側からの火災に強く、準耐火構造より長時間耐えられます。
資産価値の維持や火災保険料の割安さがメリットですが、建築費用の高さや温度変化の伝わりやすさ、デザインの制限といったデメリットもあります。
マンション選びでは、これらを理解したうえで、ご自身に合った物件を検討してみてはいかがでしょうか。