マンションを購入するとき、多くの人は立地や価格、間取り、設備などに注目します。
しかし、実は「壁のつくり方」も、住み心地や安全性を左右する重要なポイントのひとつです。
壁の工法によって、耐火性や耐震性、メンテナンス性に大きな違いが生まれることがあります。
その中でも、北米で主流となっている「ドライウォール工法」は、日本ではまだあまり普及していないものの、耐火性や耐震性に優れた高性能な工法として知られています。
今回は、そんなドライウォール工法の仕組みや特徴、
そしてマンションを選ぶうえで知っておくと役立つメリットとデメリットをわかりやすく解説します。
ドライウォールとは?
ドライウォールとは、漆喰やモルタルのように水を使って仕上げる「湿式工法(ウェットウォール)」に対し、
水を使わずに石膏ボードで壁を構成する乾式工法のことを指します。
その名の通り、「乾いた壁=ドライウォール」と呼ばれています。
この工法が広まったのは、1940~1950年代のアメリカです。
当時は、ベビーブームによって住宅建設の需要が急増しており、従来の工法では建築が追いつかないという課題がありました。
そこで登場したのが施工期間を短く、安定した品質の壁を作れるドライウォール工法です。
ちなみに、日本でも建材製造の技術自体は輸入されたものの、従来の工法が主流であったため、施工技術があまり普及しませんでした。
その結果、現在でも国内ではドライウォールは珍しい工法となっています。
ドライウォール工法
ドライウォール工法の最大の特徴は、「壁の継ぎ目を目立たせず、なめらかに仕上げられる」点にあります。
そのため、角が大きく斜めにカットされた「テーパーエッジ」と呼ばれる石膏ボードを使用します。
斜めにカットされていることによって、ボード同士を並べたときに比較的大きな溝ができるように設計されています。
溝に十分な深さがあることで、テープやパテを下塗り・中塗り・上塗りと3層で処理しても盛り上がらずに平坦に仕上がります。
また、石膏ボード全体が一体化することで内壁全体が面として機能し、高い耐震性や気密性を実現します。
仕上げ面は塗装仕上げとクロス仕上げが主流ですが、発祥元であるアメリカでは塗装仕上げが一般的です。
ドライウォールのメリットとは?
ドライウォール工法には、他の内壁工法にはない多くの利点があります。
特に注目すべきは「火に強い」「地震に強い」「メンテナンスがしやすい」という3つの性能面です。
ここでは、それぞれの特徴を具体的に見ていきましょう。